サレジアン国際学園世田谷中学高等学校

EDGE CLASS

Round table Discussion

ゼミ座談会

好きなことが「世界」の入り口に。
ゼミは一人ひとりが探究者

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好きなことが「世界」の入り口に。
ゼミは一人ひとりが探究者

EDGEの特色の1つは、「ゼミ」を通じて行う探究活動です。
生徒自らがテーマを設定し、在学中の5年間にわたって1つのテーマに打ち込みます。
1年次のプレゼミを通じて「学問とは何か」について学んだのちに、
熱意を持って取り組めるテーマを設定して、知的な冒険が始まります。
在校生のR.Iさん(4年生)とY.Sさん(3年生)が、担当の先生方とともに語り合いました。

マンボウと株式投資 自分の好きなことから

市橋先生 R.IさんもY.Sさんもゼミで素晴らしい成果を挙げているよね。二人のテーマは対照的だけれど、それぞれ好きなことから始まったね。

Y.Sさん 私は、水族館で見たマンボウに興味を持ったのがきっかけです。マンボウは変わった形をしているので、泳ぐときに小回りが利かないと聞いたことがあって、本当にそうなのかなと知りたくなりました。でも調べ始めると、ほかにもいろいろなことが気になってきました。例えばマンボウは「一度に3億個以上の卵を産むが、成体になるのは2匹しかいない」と聞いたけれど、詳しいことはわからないんです。実験をしてもっと詳しく知りたいと思いました。

R.Iさん 私はずっと株式投資に興味があったので、投資をテーマにしようと思いました。検討した結果、株式投資から発展して、もっと広い意味での投資を視野に入れました。教育と組み合わせて、「教育×投資」です。教育は将来への投資だと思うんですが、教育に対する寄付などはずっと減り続けています。でも、教育に投資しないとより良い日本を作れなくなってしまうし、社会問題にもつながってくるので、大事なんじゃないかなと思ってテーマにしました。

自分の「問い」とは何かを知る

市橋先生 マンボウや株式投資からどうやって、実際の研究テーマにつながったの?

Y.Sさん マンボウで実験するわけにはいかないので、観察対象をメダカに代えたこともありますが、メダカで実験しているうちに、メダカは卵の量などを認識することがわかってきました。本当に認識しているかどうかを調べるには、対象の色や形を変えるなど調べることがいろいろあるので、テーマを「メダカが食べられないものを識別・記憶するタイミングとその保持時間」にしました。

谷戸先生 Y.Sさんは、学内の探究学習コンテストで学年選抜になって、それがきっかけで外部の中高生探究コンテストに出展したよね。結果、セミファイナリストになった。理科教師としては、生き物は本当に多様なので、角度を少し変えるだけで知りたいことが無限に広がっていくことを知ってもらえたと思う。R.Iさんは、ゼミ担当の吉田先生や神田先生と話し合っていたよね。

R.Iさん 最初は、株式投資を考えて企業分析のためのアプリを作ろうかとか考えていたんですが、そういうサービスはすでにたくさんあるんです。どうしたら自分なりの新しいサービスを作れるかを考えたくて、先生方に相談しました。

神田先生 投資のお金が全然入っていないところはどこかを話し合っていて、非営利の組織としては神社などもあるけれどイメージしづらく、でも共通点がある場所について掘り下げていった先に、学校があったよね。

吉田先生 寄付はあったとしても、学校に誰か投資家が投資してリターンが返ってくるっていう事例はないものね。でも、その仕組みを作るのに、ちょっと苦労したよね。

行き詰まったり、予想外のことが起きたり・・・

R.Iさん はい。すごく悩みました。非営利と投資をつなげるという面白い発想が生まれたのはよかったけれど、実際には難しかったです。最初は、学校が企業などから寄付としてお金を受け取って活用することで、寄付者側に何らかの形でリターンがあるという仕組みを考えました。でも学校の広報担当の方にお話を伺うと、「学校は非営利の組織。アイデアは面白いけど実現は難しいと思う」と言われてしまいました。自分には知らないことがたくさんあるんだと思いました。

市橋先生 では、どうするの?

R.Iさん 行き詰まってしまったのですが、考え方を変えて、新会社を設立することにしました。新会社が寄付者側と学校の間に入り、受け取ったお金を地域活性化などの社会課題への取り組みに役立てて、そこで得た利益を配当というかたちで還元する仕組みを考えています。

吉田先生 課題を乗り越える過程で、本人の中で好きなことの解像度が上がっていく感じですね。何となく好きだったことが、少しずつ自分の中で軸になってくる。

市橋先生 教員としては、一緒に面白がることがゼミでのスタンスですね。教えるのとは少し違う。生徒同士のディスカッションも大きな気づきにつながる。Y.Sさんは、発表のときに受けた質問がきっかけになったそうだね。

Y.Sさん はい。産卵の実験について発表していたとき、「メダカは卵をどうやって識別しているのか」という質問を受けました。それまでは考えてもみなかったけれど、後で調べてみました。でも視覚に着目して卵の色や形も変えてみたら、予想しなかったことが起きたんです。

「探究者」として、ゼミの向こうに広がる世界へ

Y.Sさん 卵を見せるたびに、メダカは新しい反応をするだろうと思っていたんですが、何回もやるうちに卵を覚えちゃったみたいです。それまではメダカに記憶力があるなんて、考えてもみませんでした。次は匂いについての反応も調べます。嗅覚があるかどうかもわからないけれど、それも含めて知りたいです。やってみないとわからないので。

谷戸先生 一般的な知識は教科書で学べるけれど、Y.Sさんはもっと深い経験をしているよね。ゼミを通じて、二人はほかにどんな気づきや発見があったかな。

R.Iさん 私はゼミをやる前は、投資とは資産を持っている人たちだけに関係することだと思っていました。株主優待とか配当とかで生活しているようなイメージ。でも、投資を活用して既存サービスにはないような、何か面白いことができるんだなと思うと、すごく深くて幅広い。例えば教育なら偏差値とかだけでなくて、若者に必要な指標などをつくってそれを総合評価して投資につなげるとか。ゼミでやらなければ、気づきませんでした。

Y.Sさん ゼミに参加する前は、調べたいことをスマホとかで調べて簡単にまとめて、何となく「ああそうなんだ」って思ってたんですけど、実際にはちゃんと理解していなくて。でも、ゼミで探究したり考えたりしているうちに、「そうなんだ」の次に、「この場合はどうなるんだろう」と考えるようになりました。

神田先生 ゼミでの学びは中学生にとっては初めてのことなので、悩んでいる姿もよく見かけます。でも、そこから自力ではい上がったときの表情や発言、作ってくる資料はもう、劇的に変わってきますね。私たちの発想にはないようなことを提案してきます。少し恥ずかしそうに、でもすごく楽しそうにね。好きなことに没頭し、掘り下げていくゼミならではの強みだと思います。

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